2017年12月18日月曜日

オメガ3脂肪酸とアトピー性皮膚炎

月火担当の二宮です。

今回は健康な皮膚に欠かせない「油」の話をします。

油には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
不飽和脂肪酸は、ω3、ω6、ω9脂肪酸にわけられます。

このうち、体内で作ることのできない必須脂肪酸は、
ω3脂肪酸であるα-リノレン酸と、

ω6脂肪酸であるリノール酸です。

ω3から作られるエイコサノイドの働きは、炎症抑制、血小板凝集抑制などがあります。
つまり、亜麻仁油や魚油をとると、血液がサラサラになり、炎症が抑えられます。

ω6から作られるエイコサノイドの働きは、炎症亢進、血小板凝集作用です。
多くの植物油は、炎症を起こしやすくするんですね。

* 

炎症抑制も炎症亢進も、どちらも生体反応には欠かせないものです。
ω3とω6はバランスが重要です。
ですが、現代の食事では、ほとんどの人が、ω3不足、ω6過多になっています。
このことが、アレルギー体質を助長していると言われています。

実際に、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚炎の一因として、
ω6(特にリノール酸)過多の現代の食事により、
炎症が起こりやすい身体になっていることが指摘されています。


炎症反応自体は、創傷治癒の過程などで必要な反応なのですが、
治癒過程が最終段階になっても炎症がおさまらないと、
さらなる炎症を引き起こし、慢性炎症化します。

かゆみを引き起こす物質の一つにヒスタミンがありますが、
ω6由来のロイコトリエンという物質は、
ヒスタミンの約1000倍もかゆみを誘発する作用があると言われています。


おさまるべき炎症を抑えたり、かゆみを抑えたりするには、
ω3脂肪酸が必要なのです。


慢性炎症を抑えるためには、
ω3脂肪酸をたくさん摂って、
ω6(多くの植物油)や飽和脂肪酸を控えるようにすることがとても重要です。

マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸は、
百害あって一利なしなので、摂らないようにしましょう。


その他にも、ω3には、
心臓病予防、がん予防、学習能力を高める、脳の機能を維持するなどの効果もあります。


ω3は、アザラシの血を飲むイヌイットたちに 心臓病が少ないことから注目されました。
アザラシは、青魚をたくさん食べるので、アザラシの血にはω3が豊富に含まれます。
イヌイットの人たちが、欧米の食生活(牛肉など)になったら、心臓病が一気に増えたという有名な話があります。


先ほどの図を見ると、α-リノレン酸さえ摂ればいいように思いますが。
αリノレン酸からEPAへの変換率は1015%DHAへの変換率はさらに低いと言われていますので、DHAEPAも積極的に摂ることが必要です。


α-リノレン酸は亜麻仁油やえごま油に、
DHAEPAは青魚に多く含まれています。
ω3脂肪酸は酸化しやすいので、保存状態と早めに食べることが重要です。


食事だけでなかなか難しい場合は、上手にサプリメントを活用してください。
サプリメントの選び方などにつきましては、一度カウンセリングでご相談ください。

おの まりこ皮膚科クリニック
075-744-0738

0 件のコメント:

コメントを投稿